• 『森羅万象を我が手に!』神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展(2018年1月6日~3月11日)

    2018年初めの鑑賞は、渋谷のBunkamuraでやっている「ルドルフ2世の驚異の世界展」に行った。 Bunkamura発行の情報誌1月号の表紙はルドルフⅡ世の肖像画の写真で、その横には「森羅万象をこの手に」と書かれている。この表現がコレクターの彼の実像をよく表現していると思う。この地上のモノ、いや宇宙の機構までも、すべて手中に収めたかったのだろう。また、神聖ローマ皇帝という地位がそれを可能にしたのだろう。 訪問日は非常に空いていた。興味を引くモノには、時間をかけても全く問題はく、また多くはかなり接近しても鑑賞できた。先の表紙を飾った肖像画も、そしてパンフレットを飾っているアルチンボルトの肖像画?も独り占めできた。 テーマがコレクターの実像に迫るという性格も有り、博物学的興味を持たないと的が絞れないとも言えるが、この先3月まで続く展覧会の会期に少し心配を覚えた。 全体は①プラハ②天文学③動物園④アルチンボルト⑤驚異の部屋(エピローグ)の五部構成であった。散逸しているもの、例えばイッカクの頭部部分や獣の頭部の骨などは「神奈川県立生命の星・地球博物館」などから借用して補完していた。因みにこれが可能だったのは、彼を補佐していたリヒテンシュタイン公の制作した1607年の目録があるからで、そこに加えられていた獣の頭部の骨のイラストは展示品とよく似ていた。絵画編もあることだろうが、未だ発見されていない。 さてこの2018年初めての展覧会は、昨年のブリューゲルのバベルの塔(東京都美術館)とアルチンボルト展(国立西洋美術館)の記憶を甦らせてもらった点でも、個人的には意味のある展覧会だった。ちなみに、ブリューゲルのそれも一時期ルドルフⅡ世の手にあったというような記述が館内にあったと記憶しているが間違いか? 最後に特に興味を持ったのは二点。 展示の仕掛け時計が久能山にある徳川家康所蔵の時計(今なお動くらしい)が時代的に近く、構造的に沢山のゼンマイを巻く部分を持っているところが共通していたこと。 それと、花瓶に描かせたヤン・ブリューゲル(先のバベルを描いたピーテル・ブリューゲルの子)の作品さえ、博物学的になっていたこと。挿されている花はすべて種類が違う。また小さな虫なども更にその中に描き混んでいるのは、若冲の「池辺群蟲図」をも思い出させた。(単眼鏡等必須です)

  • 『水俣病の記憶を甦らせてくれた』生誕100年 ユージン・スミス写真展(2017年11月25日~2018年1月28日)

    初めて東京都写真美術館に行きました。場所は恵比寿ガーデンプレイスのそば。再開発された一角を占めます。恵比寿駅からは徒歩10分以内。比較的新しい施設ですので、バリアフリー関係は整っている方だと思います。 今回は、ユージンスミス(Eugene Smith)の写真展に行きました。シルバーデーで、65歳以上が無料なのが背中を押してくれました。会場は、シルバーデーにもかかわらず、混雑はほとんど無くストレス無く鑑賞が出来ました。 さて、私が彼の名前を知っているのは、水俣病の写真を撮り続けた人だったことです。 水俣病はご存じのように、今や温暖化の規制など、環境問題にある意味(最近はそうでもないかも)国際的にも積極性を示している我が国ですが、そもそも環境省(当初は環境庁)なる役所の発足の契機にもなった重大な身体への汚染にからむ病気で、最初の司法判断が出るまでの間をとり続けた写真集の作者の一人です。もう一人は奥さん。 その生涯にわたる作品群の中から、主に作品別にまとめて展示していました。 若い時の作品はともかとして、従軍写真家としての記録写真を撮る頃には劇的に訴求力のある写真家に育って行ったと思います。 彼の写真の手法は、コンピュータ黎明期のSEのようです。かつてSEはその企業の人たちとその企業で仕事をして、その仕事を覚えた上で、コンピュータ化を図っていきました。そうした感じに似ています。水俣もそうですし、彼を有名にしたと説明のあった「カントリー・ドクター」もそうです。これはアメリカの片田舎の町の医者の日常を追ったドキュメンタリー写真(彼はフォトエッセイと呼んでいたらしい)ですが、これもその町に住み長い時間かけてとりためたモノです。助産婦の仕事を追ったときには、その助産婦に私と一緒に仕事をしている人とまで言わしめるような、そうした手法で対象に迫りました。 興味を持ったのは日立です。日立製作所は、彼にパンフレット写真の制作を依頼した経緯があるようです。知りませんでした。日本の巨大企業そしてそこに働く人たちの関係を、雇い主と雇われ人、搾取する側と搾取される側というような単純な企画に当てはめたものでは無い世界を、表現していました。 この展覧会は、玉砕の島サイパンから始まって水俣に至る、ユージンスミスと日本との関係をまとめるという側面をも持った展覧会であったと思います。

  • 『アンデス文明の歴史的変容を学ぶ』古代アンデス文明展(2017年10月21日~2018年2月18日)

    ご存じの方が多いかと思いますが、国立科学博物館の特別展は、夜間開館のされる金曜日(時に土曜日も)の16時50分からペア得ナイト券という当日券が2千円で販売され、17時入場となります。偶数人で行く場合には、前売り券より安い。今回もその制度を使い行きました。なお、今回はペア券と言うことで、入場券が二人で一枚の発券でした。 此までの特別展のペア得ナイト経験のなかで、今回がで一番空いていた。会期が長いのと、子供の休みが外れていること、金土と夜やっていることなどの影響? 今までの個々のアンデス文明の特別展などの経験を踏まえたアンデス文明の時代的変遷を中心軸に据えた展覧会でした。監修者の一人はシカンで有名な島田泉氏。これ以上の監修者はいないかな。 今回は、アンデス山脈の太平洋側にかつてあった、年代順に「カラル・チャビン・ナスカ・モチェ・ティワナク・ワリ・シカン・チムー・インカ」という9つの遺跡を中心にした展示が行われていた。 ナスカ(地上絵だけ)とマチュピチュ(ワイナピチュも登った)ほかのインカは実際に行った経験もあり、身近に感じで見学をした。よく整理されていて、私のような初学者に分かりやすかったと思う。レプリカも混じっていたが、充分に参考になる資料で有り、好感が持てた。また、この展覧会のウェブページの充実度にも感心させられた。 たとえば学んだこととして、耳飾り。 チャビンと関係が指摘されるクントゥル・ワシ遺跡(紀元前800-前550頃)から出土した耳輪(レプリカ)。穴の直径が4センチはあろうか。次の合掌しているモチェ(紀元前後からA.D.700頃)の土器。大きな耳輪が見て取れる。またこの祈りのポーズと思える姿は他にもあり、興味を持った。更に下った、シカン(750年以降)「儀式用の金のマスクと頭飾りにを包んだシカン王」。シカンは、モチェの末裔とみられている。金製の耳飾りのようなモノは小さい頃からしだいに大きく穴を開けていかないと入らない。高貴な出自であることを意味しているとのこと。 最後の写真は、インカのキープ。スペイン侵攻時でも尚此を読める人がいたと言うことだが、解明はまだ道半ば。ワリの時代は5進数だったが、インカの時代は10進数だというような解説も有り、まぁその程度の進捗だと学芸員は説明。写真のキープは大きなモノで、人間が手を広げたよりも大きいくらいだった。

  • ダイナミック

    見終わった後もなんだかすごく興奮している。ダイナミックで繊細で、ユーモアがあってしびれてて、温かくて厳しくて。どれだけの情熱を込めてここまでたどり着いたのだろう。 毘沙門天さまと目があってドキドキ。子犬に癒やされた。

  • 皇室の彩~百年前の文化プロジェクト~

    初の東京藝術大学美術館♪ 秋の紅葉&藝大の建物のコラボも楽しみつつ、 最高級の芸術品を満喫してきました~♪ 一つ一つの作品が、他の展覧会では目玉になるのでは?!というほどの豪華さ! ひたすらに…ひたすらに…とてつもなく丁寧な美しい献上品の数々に酔いしれました♪ 皇室の献上品ということで、名だたる芸術家が何人も携わり作品を作っているという…素晴らしいの一言! ●東京名勝図・萬歳楽図衝立 裏面の萬歳楽の舞姿の刺繍に感動!まるで絵!でも刺繍の効果で、今にも動き出しそうな立体感がすごかった! ●日出処日本 大好きな横山大観の大作!部屋の壁面全面に圧倒的な存在感!まるでそこにあるかのような富士山のリアルな山肌!他にも横山大観の作品があり嬉しかった~ ●昭和天皇&皇后の御飾り棚 今回の展覧会のメイン作品!映像を見てから観るのがおすすめ!本当にすごかった! 私は皇后様の鶴の棚の方が好きでした。 どれもこれも本当に良かったです!! そして、カタログの発色も良かったので即買いしちゃいました! とても贅沢な幸せな時間でした♪

  • 『即興では描けない超絶技法』オットー・ネーベル展(2017年10月7日~12月17日)

    副題は「シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」。でも、圧倒的なオットー・ネーベルの作品群。いい夫婦の日(11月23日)のチョコプレゼント目当てに、bunnkamuraミュージアム一番乗り。 彼の絵は避難民しか知らなかった。というか、絵そのものの認知だけで、題名も知らなかった。その避難民、売店のポストカードや、bunnkamuraの通信紙の表紙を飾っている映像は、私が見たことのある明度のものだった。が、今回実物を見て、かなり暗い調子の絵で有ることを知った。 避難民・・・彼自身が第二次大戦中にドイツからスイスのベルンに身を寄せている。1935年、ヒットラーがベルサイユ条約を破棄した年のこの作品は、その反映なのだろうか。でも、正直この絵は、若い夫婦が子供を連れてどこかに行くというほほえましささえ感じる絵として見てきた。徒に明度を上げているのは誤解されかねねないかと。藤井隆の本展のページhttp://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/topics/749.html の感じが実際の色調に近い。 その避難民を双眼鏡で見てびっくり。線画の中を塗りつぶすように着色しているように見えるが、双眼鏡で見ると、小点や極細の線の集合で描かれている。学芸員にどのように描いたのかと尋ねると、後半に映像を見ると分かると応えた(後半で藤井隆による解説映像を見ることが出来る)。 彼の絵の多くはこの手法で描かれており、根気と時が費やされて出来上がっている。 番外編というか、「11人の子どもたちが「日本」ごっこ」という作品も。ネット上では、北斎漫画との関連性を指摘する声も。(https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12325071882.html) wikiで有るのは英独仏語。何れも作品画像や肖像すらない。しかし、むしろ描く行為のその画業のすごさに驚き感動した。全体的に丁寧な作品紹介にも好感。 不満は、一部のライティング。鑑賞者が映ったり、反射して作品が見えずらい。空いており鑑賞に支障をきたすことは無かったが、残念。

  • 『国立西洋美術館館長馬渕明子氏の執念を感じた』北斎とジャポニスム(2017年10月21日~2018年1月28日)

    怖い絵展をすいている時間に鑑賞し終え、体力があったので、国立西洋美術館に向かいました。 少し前に東京都美術館に行った際に図録を購入していたので、事前学習済み。 北斎の影響の多くは、北斎漫画によるものが多いと思います。モネ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなどに多大なる影響を与えたとされています。影響を受けた絵と与えたとされる北斎の絵/版画を並べた展示が基本でした。北斎漫画が比較対象のモノが多かったことからも分かります。。 北斎に限らず、広重など多くの浮世絵師が当時のヨーロッパ画壇に影響を与えたことは広く知られています。ですから、ややこじつけかなぁと思えるような比較もあったのですが、こうして一人の人物だけで影響の様を展示できるのは、やはり北斎ならではと言えると思います。(貸出先が影響を受けていると認定しなければ貸してはもらえないだろうけれど。) ガレ、ドーム兄弟、ティファニーのガラス工芸作家にも、多大なる影響を与えています。このことは、すみだ北斎美術館の開館時の特別展展示で学んだことです。それと木の工芸品も展示がありました。そのほとんどが、木の中に象嵌で木を組み込んで植物などの絵柄を表現しておりました。此は初めて学びました。 今回もう一つ新たに学んだのは、此も北斎に限らないんですが、シリーズもの、たとえば富嶽三十六景や東海道五十三次のようなもの、これも西洋に影響を与えたと言うこと。つまり、絵画等のシリーズものです。エッフェル塔三十六景などという作品も作られたそうです。怖い絵展で見た、マックス・クリンガーの版画「手袋」シリーズもひょっとしたらその系譜なのかもとも思いました。 兎に角、現館長馬渕明子氏の執念を感じる展覧会でした。彼女がもう一つ意欲を燃やしている美術史のような展覧会も今後大いに期待したいと思います。 最後に此はお馬鹿な感想ですが、北斎漫画などをそのままの形で絵皿の図案に使っている様などを見ると、西洋においても著作権思想がまだ完全には浸透していない時代だったのだなぁと思いました。そうでなければ、北斎の子孫は多大なる恩恵を受けていただろうにと。

  • 『企画力と招聘努力の結晶』怖い絵展(2017年10月7日~12月17日)

    ついに行ってきた!大盛況大混雑の展覧会。ゲスの勘ぐりですが、中野さんは一財産作ったでしょうね。 朝9時開館だったんで、8時に到着するように行きました。既に列が・・・。入る際には、ブロック毎足止めされましたが、何とか第一ブロックで入れました。ラッキー! 第一章の神話と聖書は飛ばして、第二章から見ました。すいている!ぜんぜん並ぶこと無く、ほぼほぼトップを切ってみることが出来ました。また「オデュッセウスに杯を差し出すキルケー」の作品を本当の鏡にして、自身が撮れるコーナーも余裕で撮影できました。でも、でも、です。最後まで見て元(第一章)に戻ると、もう大混雑でした。 さて、この展覧会、大変な苦労があったと思います。対象の美術館が工事などの影響で、一挙やってくる時のような訳にはいかないので、すべての作品一つずつの交渉になったことでしょう。その苦労や計り知れないものがあったと思います。この企画にその意味でも拍手を送りたいです。 あらかた学習していったので、イヤホンガイドも借りましたが、中味的にわかっていたので、鑑賞に集中することが出来ました。(イヤホンガイド解説の本数は15と少し少なかったのはいささか不満。) チャールズ・シムズの作品が何点か有りましたが、「そして妖精たちは服を持って逃げた」の鑑賞には、恐いかどうかは別として、やはりシムズの状況を知らないとその意味を知ることは出来ないと思います。中野京子さんのもくろみ通り?だと思いました。 この展覧会で一番リキの入っていた、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は独占してみることが出来ました。ですので、「9日間の女王」がひときわ小さく描かれ、悲劇を演出していることもゆっくりと味わうことが出来ました。 残念だったのは、期間が別だったので、ムンクのマドンナが見れなかったこと。それと、「手袋」はやはり全作品見たかった。プリントなんだから、何とか集めてもらいたかった。 ともあれ、希有な展覧会を見ることが出来て幸せでした。