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ノート (作品解説)

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『師辻惟雄氏への山下裕二氏のオマージュとしての展覧会』奇想の系譜展その1 (2019年2月9日~2019年4月7日)

辻惟雄の「奇想の系譜」を下敷きにした展覧会。山下裕二氏は様々な日本美術シーンのプロデューサーとしても活躍をされているが、ことある毎に師の辻惟雄氏について言及する。今回は、そして直球勝負で監修をしている。「奇想の系譜」の具現化は、師弟の喜びとするところだろう。 三島由紀夫の著書「美徳のよろめき」で「よろめき」は本来の意味に新たな意味を加えた。同様に、辻惟雄は「奇想の系譜」に於いて、「奇想」とは『普通では思いつかない考え。奇抜な思いつき。』(日本国語大辞典)が本来の意味だろうが、日本美術に於いては「革新性」とか「現代性」とでも言うべき意味合いを付け加えることになったと思う。明らかに、「奇をてらう」を超越したものだと思う。奇想の系譜とは、革新性の追求者列伝と言い換えられるのではないか。表紙にあるアバンギャルドとして理解して良いかと思う。奇想と表現することが奇想だった。 私が日本美術を見るきっかけになったのは、若冲。だから若冲は奇想ではない。あえて言えば、動植綵絵。私には、超絶技巧という言葉がしっくりする作品。いい加減な倍率の写真ではとうていディテールを表現出来ない作品。2016年の今回と同じ東京都美術館における『動植綵絵』+『釈迦三尊図』三十三幅が展示された様は、感動ものだった。私は、若冲から日本画を積極的に見るようになった人間で、今回はその意味では、江戸時代のアバンギャルドグループ展を見に行ったと言うことに過ぎない。 シルバーデーで無料入場。開門も若干早かった。確かに鑑賞数は多いものの、激混みと言うほどでは無かった。解説の無い作品の多くは、割合とじっくり鑑賞出来た。扉が開いて直ぐに入って、13時少し前まで見ていたが、観覧者の列は途切れることは無かった。 ガイディングレシーバーの小林薫は、落ち着いた声で聞きやすく好感が持てた。 ただ、例えば、「ジョー・プライス」が何者で、今回の展覧会にどう寄与したとか、そうした類の解説も『葡萄図』の中に入れるなどの工夫が欲しかった。 残念な展示は、長沢芦雪の「方寸五百羅漢図」およそ3㎝四方の中に、象に乗った(象に跪いて立っているようにも見える)釈迦を中心に五百羅漢を描いた作品。多くの参観者は実作品では無く掲示された拡大写真を見ることしか出来ない。拡大鏡等を使って、展示できたら良かったと思った。 メインの写真はパンフから。

鈴木其一『夏秋渓流図屏風』

夏秋渓流図屏風は見た目鮮やかに、今鈴木其一が描いたその瞬間を保存するかのごとき作品。 浅学な私は、これを現代の日本画家の作品だと言われても、たぶん疑わないだろう。竹橋の国立近代美術館に置いてあっても、あぁすばらしいと見てしまうに違いない。 それだけ私の見た目、現代風な絵画であって、その目を勝手に正しいとすれば、往時では相当の奇想であったことは想像に難くない。 逆に言えば、現代に於いてはこの絵は奇想でも何でも無い。「普通では思いつかない考え。奇抜な思いつき。」という評価は果たして当てはまるかどうかも怪しい。 紅葉した桜の葉がひらひらと渓流に舞い落ちる様をあらわした左隻と、かなりディフォルメされたユリの花が咲き競い蝉の鳴く夏を表した右隻によって構成されている。背景の金箔に負けぬ樹勢の描き方は、見事と思った。 画像は、展覧会特設ページからの引用。

長沢芦雪『方広寺大仏殿炎上図』

方広寺は数奇な運命をたどった寺。「方広寺鐘銘事件」もその一つ。 秀吉の創建ではあったが地震で倒壊し、秀頼が再建した。その後も再建時の落慶法要が行われないなど、上記方広寺鐘銘事件等様々なを経て、最終的には1798年7月1日に落雷による火災で消失する。 その状況を、少し俯瞰する位置から描いたもの。目の前に大きな火の粉が迫る場面は、まるでドローンで火災現場を広角レンズを使って空撮しているかのように思えた。炎上を朱をたくみに使って描いているが、想像で描いたものなのか、四日間も燃え続けたと言うから、或いはその場に出向いてみたものなのだろうか。 興味を持ったのは、落款。 落款に「即席漫写」とあるのだそうだ。即席と言うだけあって、作品の一部に畳の目が付いてしまっているという。それだけ一気呵成に、時を待たずして描いたのだろう。 で、更に面白いのは、その落款そのものも、火の粉を受けて燃え尽きんとしているかのようだ。茶目っ気も忘れていない?或いは鑑賞者にその切羽詰まった感を演出したかった? 画像は、https://yahan.blog.so-net.ne.jp/2017-09-11からの引用。

伊藤若冲『旭日鳳凰図』

この写真は、パンフレットからの引用。 そのパンフレットの解説には、『動植綵絵』をしのぐ程の生気溢れる精密な描写とある。 残念ながら、図録でさえも、そのディテールを活写出来ていない。それだけの細密画。例えば鳳凰の白い羽の細密さは、『動植綵絵』級だと感じた。 そして、私の若冲は、ここにあるとも思った。 この域に達せるものは、ほぼいないだろう。 この世界に魅了され、日本画に興味を持ち始めて今日に至る。 辻惟雄氏や山下裕二氏の手を経て、今日の若冲ブームがあるわけだが、その必然を改めて感じさせてくれた作品。


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